「散る桜 残る桜も 散る桜」
良寛和尚の辞世の句とされています。
葬儀で故人を見送る私たちも、必ず見送られるときが来ます。人は必ず亡くなるということを、これほど端的に表現した句はなかなかないのではないでしょうか。
ところで、ソメイヨシノは一斉に散るため「散る桜」というイメージはあっても、「残る桜」というイメージはあまりありません。
ソメイヨシノは江戸時代に江戸郊外の染井村(今の豊島区駒込)で作出され、明治以降に広がった園芸種ですから、良寛さんの「散る桜」「残る桜」は、ソメイヨシノではなく山桜や里桜だったようです。
ソメイヨシノがハラハラと花びらを散らすのに対して、山桜や里桜は花のままポトッと落ちる感じです。ソメイヨシノの「儚い」という印象とはずいぶん違います。
「残る桜も散る桜」近所の里桜を見ながら、改めて味わってみようと思います。